画像出典:Airbus Advanced drone inspection、Airbus、以下同じ
もくじ
点検用ドローンを使って、ほぼ全自動で機体を検査
欧州最大の航空機メーカーであるエアバス(Airbus)社が、飛行機の外装を点検するためのドローン「Advanced Inspection Drone(先進的検査用無人機)」のデモ映像を公開しました。このドローンはカメラや障害物検知用のレーザーセンサーなどを搭載し、エアバスとその子会社スティアが独自に開発した非破壊検査用ソフトウェアに対応するデータを半自動で取得できます。エアバスによれば、ドローンを活用して効率的な検査を行なうことで、機体の休止時間の削減と検査レポートの質の向上が期待できるそうです。
最先端検査ドローンはあらかじめ決められた検査ルートに従い、必要なすべての画像を搭載カメラで記録します。記録された高画質画像はPCのデータベースに転送され、ソフトウェアシステムによって詳細に分析されます。これにより、そのデータを機体のデジタルモックアップと比較して、機体表面の損傷箇所を見極め、測定することができます。ソフトウェアが自動的に検査レポートを作成します。
Airbus
エアバスの点検用ドローンが稼働する様子
1名+1箱が飛行機検査に必要なフルセット。
検査に必要なドローンやコントローラーはこの1箱に収まります。ちなみに、この箱は「キャリーケース」のように車輪を備えているので、1名ですべての機材を運搬可能です。
離着陸などの操作はオペレーターが行ないますが、決められたルートとパターンに沿って飛行機の回りを動き回る際はドローンが自律飛行を行ないます。つまり、検査中は不測の事態がないかぎり、オペレーターはドローンの操作をしたりカメラの向きを動かしたりする必要はありません。
こんな感じで飛行機の周囲を飛びまわりながら画像を撮影していきます。
エアバス『A320』という全長37.57m、全幅34.09mの機体であれば、30分で検査を完了できるとのこと。
点検用ドローンが取得したデータを分析
点検用ドローンが撮影したデータは自動でクラウドにアップロードされ、遠隔地にいる別の検査員がPCでチェックします。
故障や傷などが疑わしい画像を抽出して表示する機能を備えています。
さらにエアバスが使用する3Dモデリングツールと連携することで、より精密な検査が可能。
こうして、ドローンが取得したデータをソフトウェアと人間の目で精査することで一連のチェックプロセスが終了し、最後は自動でレポートが生成されます。なお、「撮影から検査終了」までにかかる時間は通常約3時間とのこと。これを地上などから目視で行なった場合には1日を要するそうなので、ドローンを使用した場合のスピードアップは相当なものであると言えるでしょう。
Airbus Advanced drone inspection
検査用ドローンが実際に飛行する様子や遠隔地の検査員が見ているPCの様子がわかるエアバスの公式動画はこちら。
今回の映像はあくまでも「デモンストレーション」ですが、エアバスは2018年第4四半期から「単通路型」シリーズの飛行機の検査にこのドローンを使用し、実践運用を開始するそうです。
編集後記
着実に進むドローンを活用した点検は、今回ご紹介した飛行機だけでなく、橋梁(橋)や太陽光パネル施設などでも導入が始まっています。「高所」や「広大な敷地」など、人間が登ったり動き回るのに苦労する場所でも、ドローンなら苦もなく到達し自動で検査が行なえるため、点検の精度が十分でコストに見合えば様々な分野で活用が進むことが期待されます。