画像出典:DHL Parcelcopter 3.0、ドローン配送:DHLの固定翼機を使用した自動配送システム 、以下同じ
もくじ
世界最大の国際輸送会社DHL
ドローン配送に取り組む
世界中で目にする赤文字のロゴでお馴染みの「DHL(ディー・エイチ・エル/デーハーエル)は、世界最大の輸送・物流会社です。全世界220の国と地域にサービスを展開し、35万の人員数を抱える巨大企業であり、配送専用に使用する航空機の数は250機。ドローンではなく「飛行機とヘリコプターが250機」というのですから、いかにその規模が巨大であるかがわかります。
陸上輸送が難しい小口配送にドローンを活用
そんなDHLもドローン配送への取り組みを初めており、着実に実験を積み重ねている様子が同社のプレスリリースなどで公開されています。
第1世代(2013年)
ライン川を越える輸送を実現
DHLのドローンへ「PARCELCOPTER(パーセルコプター)」の取り組みは古く、最初に公開された実験は2013年にまでさかのぼります。
オペレーターの目視と手動操作による飛行でライン川の上を飛行し……
およそ1km先に荷物を届けることに成功。
第2世代(2014年)
自動航行による定期輸送お実現
第2世代機の実験においては、3ヶ月間に渡り12kmの距離を1日に複数回飛行する試みが行なわれました。
飛行は自動航行で、高度50mの場所を飛行してドローン配送を実施したそうです。
こちらがドローンの運行を管理する管制室内部の様子。
この際に運ばれた物は医薬品などであったとのこと。
第3世代(2016年)
VTOL型機と無人配送拠点を開発
最新型の機体は固定翼を備え、垂直離陸が可能な「VTOL(Vertical Take-Off and Landing/ブイトール)機です。
さらに、機体と無人の配送拠点を組み合わせた運用が行われており、どのような輸送の流れになるのかが動画で公開されています。
まずは、同じにのDHLの小型トラックで配送拠点に荷物が届きます。
ここまでは、よく見る「宅配」と変わらないように見えますが……
トラックが到著した先は無人の配送センター。
その名も「SKYPORT(スカイポート)」です。
そして、このスカイポートの屋上には、VTOLドローンが待機しています。
SKYPORT内に置かれた荷物は自動で屋根の上のドローンまで運ばれ……
積荷はドローンの“腹”に収納されます。
SKYPORTの屋根から飛び立つドローン。固定翼機のため時速70kmという高速で飛行し、最大2kgの荷物を運べるそうです。
こうして、ドローンが飛び立ちこの先にある別のSKYPORTに荷物を下ろして配送が完了します。
ドローン配送:DHLの固定翼機を使用した自動配送システム
実際にDHLのVTOLドローンが荷物を運ぶ流れをまとめた公式動画は以下でご覧いただけます。
編集後記
このVTOLドローンによる配送についてのプレスリリースが発表されたのは2016年7月ですが、その後2017年にDHLが公開したプレスリリースにおいても、以下のような記述があり同社が引き続きドローンの開発を続けており、特定の市場での実用化を狙っている様子がうかがえます。
オンライン医薬品市場が2023年までに1,280億米ドルまで成長すると予測される中、配送チャネルも消費者直送へと変化し、地場配送にはスピードと柔軟性が求められています。本報告書では、企業が今後サプライチェーンの下流までを担い、医療機器部品から手術用キットまで様々な商品をオンデマンドで病院へ配送する時代が到来すると予測しています。
需要の高まりおよび費用抑制に対して、本業界のサプライチェーンはスピードと精度を追求すべくロボティクスおよび自動化技術を取り入れ、今後ますます自動化の方向へ進むことが予想されます。ロボットや自動運転技術は、庫内ピッキングや仕分け、実験用サンプルの解析等の定型業務に要する労働力を削減します。さらに、ドローン(UAV)の活用により、遠隔地へより迅速に低コストで配送することが可能となります。
DHL、サプライチェーンがライフサイエンス業界変革の鍵となると主張