【海外ドローンニュース】アメリカ海軍発、バードストライクを防ぐドローン!?

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「鳥が飛行機のエンジンに吸い込まれ、直後にエンジンから火の手が!!」なんて衝撃映像、皆さんもテレビで一度は見たことがあるのではないでしょうか?バードストライクと呼ばれる航空事故で、最悪は墜落事故にも繋がりかねない深刻な問題です。

日本では散弾銃を携帯した職員が空砲で鳥を威嚇したり、そもそも鳥の餌となるような動植物が空港近辺に繁殖しないように環境を整えたりしていますが、国交省によると毎年大小合わせて1,500件以上のケースが報告されているそうです。

今回の記事ではバードストライクをドローンで解決しようというアメリカのニュースをご紹介します!

アメリカ軍の専門チーム:BASH

日本では空港は100箇所程度ですが、ジェネラル・アビエーションが発展しているアメリカでは、大小合わせて約20,000箇所も空港があります。それだけにバードストライクもより深刻な社会問題となっています。

中でも世界最大の軍用機数を保有するアメリカ軍は、とりわけこの問題に心血を注いでおり、長年に渡って対策を講じています。戦闘機がハイテク化している現代において、一機だけの値段でも100億円は下らないと言われています。陸海空軍あわせて13,000機以上の航空機を保有するアメリカ軍では、バードストライクだけでも年間3,000件以上の事故が報告されており、被害額は実に75億円以上(7,000万ドル)になるのだそうです。

アメリカ軍の中には、このバードストライクを専門とするBASHチーム(Bird Air Strike Hazardの略称)が組織されており、アメリカ国防総省は年間55億円(5,000万ドル)の予算を使ってバードストライク問題に取り組んでいるんだそうです。

どう解決する?

アメリカ海軍とHitron Technologies社は、そんな状況を打破するために、画期的な方法を開発していますそれは、「ドローンを使って野鳥の卵が孵化しないようにする」という方法です。

具体的には、ドローンを使って野鳥の巣を探し出し、オイリングと呼ばれる手法で、卵に食用の油を噴射して雛の酸素欠乏を誘発し、孵化を防ぐという解決策です。(油を注いで雛を殺すなんて残虐すぎる!と思われるかもしれませんが、人道的な方法として昔から存在しているやり方なんだそうです。)

ドローンを使ったオイリングの手法自体は、2019年から既に実装している事例などもあるのですが、これらの一連のアクションをドローンが自律制御で行えるようになるというのが本研究の目玉です。

△カリフォルニア州のモハーヴェ砂漠国立保護区で実装されている、HardShell Lab社のオイリング用ドローン。動画でもオペレーションの様子を見ることができますので、興味がある方はぜひロサンゼルス・タイムズのYouTubeチャンネルを御覧ください。

Hitron Technologies社の発表している資料を見るからに、全方向型のビジュアルスラム(図a)に、LiDARセンサーがついていて(図c)、オイルを噴霧する装置(図bとe)が備え付けられているようですね。機体のシェイプがアメリカ政府で使用禁止措置が取られている某中華製機体のようにも見えますが、、、研究開発フェーズなので、そこはご愛嬌ですね。

ドローンである必要性

基本的に鳥の巣は、木の上や軒下など、高いところかつ人目につかない所にあります。そんなところにあるわけですから、ドローンと相性が良いのです。「バード・エッグ・キラー」とも言えるこのドローンには、障害物回避センサーが備えられており、かつ自律飛行が可能なため、建物の天井や電柱など、繊細な機器や配線のある場所でも安全に飛行することができます。

オイリングは手動で行うか、一度ボタンを押すと自動で行われるか、どちらかを選択することができるので、絶滅危惧種に該当する鳥が多いエリアでは、マニュアル操作をするなども選択が可能です。

旧来のオイリングの手法に比べても足場を組む必要もなく、ドローンの自律飛行が可能なため、人件費の削減が見込め、より安価にオイリングすることが期待されています。

更には、ドローンを利用する事で野鳥のデータの管理がより手軽に、より精密にできるということが最大の利点と言えるでしょう。正確な地理情報の上に、何の種類の卵が、どれだけあるのか、などと言った情報が、オペレーション後に厳密にソフトウェア管理をすることが可能なのです。

編集後記

鳥衝突による被害を少しでも減らすために、各国でさまざまな手法がとられていますが、今回はその中でもとりわけユニークな、孵化を防ぐことができるドローンを紹介しました。

日本では2023年から空飛ぶ車の実証実験がスタートの予定ですが、よくよく考えると当たり前に空飛ぶ車が普及するためには、ハードウェアの性能だけでなく、バードコントロールなどの外部環境のしっかりした整備も必要ですよね。

「バード・エッグ・キラードローン」が完成、普及することで、鳥がエンジンに吸い込まれてバラバラになってしまうと言った事件や、衝突によって航空機が故障する、といったことが減ることを期待したいですね!

 

 





2021.06.26