米国通信大手のAT&T社がドローンでモバイル通信ネットワークの基地局を代用する試みをハリケーン「マリア」の被災地プエルトリコで行ったとロイターなどが報じています。
» FAA approves AT&T drone in Puerto Rico for cellular service:Reuters
もくじ
有線ドローンが携帯電話の基地局になる
The Pulse Vapor 55 drone functions like a cell tower in the sky, providing voice, data and internet service, the FAA said. It flies up to 200 feet above the ground, covering an area of 40 square miles.
『Pulse Vapor 55』というドローンは空中でモバイル通信ネットワークの基地局のように機能し、音声、データそしてインタネットサービスを提供すると連邦航空局は話しています。また、ドローンは約60メートルの高さを飛行し、周囲103km四方の通信をカバーすることができます。
FAA approves AT&T drone in Puerto Rico for cellular service:Reuters
プエルトリコで飛行する「基地局ドローン」の動画
一般的なモバイル通信ネットワークの基地局はアンテナや中継装置などをビルの屋上や鉄塔の上に設置しますが、この「ドローン基地局」は地上から有線で給電され長時間飛行できるドローンにアンテナなどの装置を積み込み、対空させることで素早く通信網を展開できます。
AT&Tがプエルトリコに「基地局ドローン」を展開する様子は同社の公式YouTube動画で視聴可能です。
AT&T's First Official Deployment of Cell On Wings In Puerto Rico
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「基地局ドローン」のベースとなった機体
「基地局ドローン」はかなりカスタマイズされた機体ですが、そのベースとなっているのはPulse社の『Vapor 55』というドローン。一般的にイメージする4機のローターを備えた『Phantom』のような姿ではなく、ヘリコプター型の機体です。
実際に飛行している様子は以下の動画でご覧いただけます。
Pulse Vapor-Let's Fly
日本の状況
日本においても大手3キャリアは既に「ドローン基地局」の実証実験を行なっており、被災地などでの展開を想定し準備が進められていいます。
» 災害等を想定した「ドローン中継局」による携帯電話サービスのエリア化に成功:NTTドコモ
» 「ドローン基地局」の開発について:KDDI株式会社
» 国内初、ドローンを活用した無線中継システムの屋外での実証実験について:ソフトバンク株式会社
広範囲に通信を提供するためには「高さ」のある場所にアンテナなどの装置を置く必要があるため、そのためのビルや鉄塔がダメージを受けると復旧に時間がかかってしまいます。一方でドローンはそのような設備なしに素早くアンテナなどの装置を高所に展開できるため、災害時の素早い通信の復旧に大きなアドバンテージを発揮します。
「基地局ドローン」は、空撮や測量、物流だけにとどまらないドローンの活用法として、今後の発展に期待が膨らむ分野ですね。