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ドローン防衛技術、150万ドルのシステムからDIYまで6選

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※ 画像出典:OpenWorks Engineering

2022年までに2100億円市場への成長が予測されるドローン関連ビジネスは、新たな産業や雇用を創造する推進力として注目を集めています。

2016年度の日本国内のドローンビジネスの市場規模は353億円と推測され、2015年度の175億円から178億円増加しています(前年度比102%増)。2017年度には前年度比51%増の533億円に拡大し、2022年度には2116億円(2016年度の約6倍)に達すると見込まれます。



出典:2016年度の国内のドローンビジネス市場規模353億円(前年度比102%増)、2022年度には2116億円に拡大|インプレス

いっぽうで、ドローンが普及することによりテロなどに使われる恐れが高まるなど、悪用された場合に備える必要が生じていることも確かです。

過激派組織「イスラム国」(IS)が小型無人機「ドローン」の攻撃用への転化を進めている。IS掃討戦を続けるイラク軍と有志国連合は「無差別攻撃」を仕掛けていると警戒しており、イラク北部モスル奪還作戦中にISの攻撃用ドローン10機以上を撃墜。ISがドローンの性能を向上させ、将来的にテロ攻撃で使用する恐れを指摘する声もある。



出典:ISドローン攻撃強化 テロ転用の恐れ イラク軍、12機撃墜|産経新聞

本稿では、そのような「悪用」に対抗するために進められている取り組みの中から、すでに実用レベルに達している「対ドローン防衛システム」をピックアップして動画でご紹介していきます。

ペンタゴンが1億6500万円で契約したドローン防衛会社

約1億6500億円(150万ドル)の契約を国防総省(ペンタゴン)関連組織と締結したというSkySafe(スカイセーフ)社は、不審なドローンに対して電波を用いて無力化する技術を開発する企業です。


 » 参考:米軍、ドローン攻撃から地上部隊守る技術開発へ|CNN
 » 参考:ドローンバスター、スカイセーフ…アンチドローンシステム続々|ロボティア

敵ドローンを電波で乗っ取る

飛来する不審ドローンに見立てたDJIの『Phantom(ファントム)4』を、電波妨害用の車両に搭載したシステムを使用して着地させる様子が動画で公開されています。

動画は、目に見える光や耳に聞こえる音は確認できない地味な展開ですが、戦場での使用する場合は迎撃者の位置が敵に察知されづらい点が強みになるのかもしれません。また、民間の利用においても、仮にイベンド会場などに不審なドローンが飛来した場合には集団パニックを誘発しないためにも、無音で防衛できるシステムの方が優れていると言えそうです。

ネットガンでドローンを落とす

歩兵1人で使えるネットガン

まるでSF映画に登場する武器のような、未来的な外観のSkyWall (スカイウォール)は、OpenWorks Engineering(オープン ワークス エンジニアリング)社が開発したドローン撃墜用のランチャー。歩兵や警備員が使用する前提の装置で、地上から重りのついたネットをガス圧を用いて打ち出し、ドローンを絡め取るしくみです。

上記のプロモーション動画によれば、狙いを付けるための「スマートスコープ」が備えられており、ロックオンサウンドにあわせて引き金をひくことで高い命中精度を維持できるそうです。また、ネットの入った「弾」は素早く再装填(リロード)でき、複数のドローンにも対応できるとのこと。さらに、ネットがドローンに命中した後はパラシュートを開いて減速しつつ地上にドローン落とせる仕組み。最大射程距は約100メートルとのことです。

空対空ネットガンでドローンを撃墜

Theissという別の会社は「ドローンからネットを打ち出して、ドローンを撃墜する」空対空システムを販売しています。

果たして、どれくらい命中精度が出せるのかは疑問ですが、地上からでは捉えづらい高度から侵入してくるドローンに対しては有効な対策になりそうです。

ランチャーを自作した猛者現る

個人のDIY(自作)武器として、ドローン撃墜用のランチャーを自作したツワモノも存在します。

ものすごい手間をかけて、かなり本格的な威力のネットガンを作成しており、一体何が彼をそこまで駆りたてたのか気になるところです。

鷲(ワシ)でドローンを迎え撃つ

Guard From Aboveが取り組んでいるのは、特別な訓練を受けた 鷲(わし)によるドローン防衛。

スピードとパワーでドローンを圧倒するワシ

実際にワシがドローンに掴みかかって地上に落とす姿をおさめた動画は以下の通りです。

BBCによる取材映像も公開されており、ドローンを凌駕する圧倒的なワシの運動能力が映像におさめられています。

ちなみに、ベルギーでNATOサミットが行われた際には、「ドローン迎撃用のワシ」が配備されという実績が報道されています。


» 参照:ドローン・テロにワシで迎撃 NATO首脳会議でベルギー当局、厳戒態勢| 産経ニュース

警視庁がすすめるドローン対策

日本では、2015年4月に首相官邸の屋根にドローンが無断着地される事件があり、それを受けて同年12月より警視庁に「無人航空機対処部隊(IDT)』が発足しドローン対策にあたっています。


» 参照:空からの脅威を迎撃する無人航空機対処部隊(IDT)の実力は?|産経新聞

警視庁のドローン捕獲用ドローン

新技術がもたらすリスクとの向き合い方

悪用事例にフォーカスが当たることも少なくないドローンですが、リスクに対処し、攻撃に対応する技術の実用化が進んでいる事実を見逃してはなりません。社会に新しい技術が浸透する過程で、一部の人間たちが悪事をはたらく例は数え切れませんが、際限なく規制を強めたり、ゼロリスクを求めて足踏みを続けていては、社会全体の生産性低下を招きかねません。いま私たちに必要なのは、ドローンという存在が生活にもたらす影響を吟味し、利活用の方法を見極める冷静さとバランス感覚ではないでしょうか。


※ 本稿で紹介した対ドローン防衛の仕組みは、電波法や銃刀法などの規制により日本国内での使用に適さない場合があります。導入に際しては、必ず専門家のアドバイスを受けるようにしてください。

2017.07.26


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