近年、災害発生時にドローンを活用し人々の安全を守ろうとする取り組みが増えてきています。
今回紹介するのは「アナウンサードローン」と呼ばれるスピーカー付きのドローンです。
こちらのドローンは、AIが搭載されており29か国語の言語を話すことができます。またドローンのプロペラ音に負けない強力な音量を発信することも可能です。
本記事では、アナウンサードローンのスペックや特徴、活用事例をご紹介します。
もくじ
アナウンサードローンとは?気になる価格やスペックを紹介
「アナウンサードローン」は、双葉電子工業製の飛行ロボットにスピーカー機能を搭載したドローン。
人工知能(AI)機能を用いることで原文を29か国語に翻訳し、ナチュラルな発音で発信することができます。
またスピーカー搭載のドローンとして注目すべきポイントは、「圧電スピーカー」と呼ばれる広範囲に向けて音を出力できる技術です。クオリティソフト(和歌山県白浜町、浦聖治社長)が開発に携わりました。
スペック・価格
耐風性能:15m/s
防塵・防水性能:あり
長時間飛行可能:45分
価格は350万円(税抜)程度です。
背景
全国の地方自治体では災害時にドローンを活用した対策を行う動きが強まっています。例えば、分断された集落への避難物資の輸送、要救護者の発見など。
このような防災対策の一つとして、地域住民への呼びかけや誘導にドローンを活用するケースもあります。しかしドローンのプロペラ音にかき消されて音声が聞き取れないのが課題でした。
そこでクオリティソフトの圧電スピーカーの開発に着手。ドローンのプロペラ音や周囲の環境音に負けない音声出力を実現しました。また音声の指向性により、ドローンから300メートル離れた場所にいてもはっきりと聞き取れるようにしています。
特徴
アナウンサードローンは、小型、軽量、省電力を実現しているところが特徴です。
最も注目すべき点は、通常スピーカーと異なる中高音領域を使用していること。
これにより、ドローンのプロペラ音に放送音がかき消される問題を解消しました。
高度100m上空からでもクリアに音声を届けることができます。
スピーカーは計5種搭載されており、総重量は200-650gで比較的軽量です。
アナウンサードローンの活用事例
1.災害発生時の呼びかけ
【導入前の課題】
地震により津波が発生した際、沖にいる海水浴客などに避難を呼びかける必要があります。
しかし従来の防災無線では音声が届きにくく、ヘリコプターを出動させようにも迅速な対応が難しいのが課題でした。
【導入後の効果】
避難が必要な人々の元へすぐにドローンを飛ばすことで、状況をすぐに伝えることができます。これにより高台への避難誘導もスムーズに行うことが可能です。
救助のための行動、指示
【導入前の課題】
川の中洲に人が取り残されて濁流が迫っているとき、即座に救助活動を行わなければいけません。
しかしヘリコプターなどですぐに救護者の近くまで行くのが難しく、対応にムラが生じてしまうケースがあります。
【導入後の効果】
ドローンを使うことで要救助者にスピーディーに救命胴衣などの応急物資を届けることが可能です。
またアナウンス機能を活用すれば、要救助者が取るべき適切な行動指示ができ、助かる可能性を高めることができます。
多言語でのアナウンス
【導入前の課題】
日本語でアナウンスを行っても、日本語以外の言語を母国語とする人々はアナウンス内容のすべてを理解するのが難しいです。
そのため、複数の言語でアナウンスを行うことが求められています。
【導入後の効果】
2019年12月時点で、アナウンサードローンには日本語を含む29か国語の言語での発信が可能です。
海外から来た方に対しても的確にメッセージを伝えることができるでしょう。
被害状況の把握や避難指導
【導入前の課題】
工場での火事など、災害が発生したときに重要なのは状況の把握です。
どこに避難すべきなのか、被害が出ているエリアはどのあたりまでなのか、迅速かつ適切に認識しておかなくてはなりません。
【導入後の効果】
ドローンを飛ばすと、上空から安全に被害状況を把握できます。またリアルタイムで映像を確認することができるのもメリットです。
アナウンス機能を利用すれば被災者に対して、どのように行動すべきなのか、どこに避難すべきなのかを確実に指示することもできます。
今後の展望
まずはアナウンサードローンを各自治体に拡販していきます。
それと同時にクラウドサービスとパッケージソフトウェア提供を同時に手がけ、ドローンの飛行経路管理や機体相互認証を含めたサービスへと発展させていこうと考えています。
▼参考
https://drone-bc.jp/announcer-drone/index.html
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