2019年6月13日に改正航空法が可決、成立されました。その中には小型無人機「ドローン」の安全対策に関する事も。ドローンの飲酒時の操縦を正式に違法操縦として禁止しました。飛行前の機体点検を義務化。2020年のオリンピックに向け、急速に普及しつつあるドローンの事故防止策を強化しました。
新しい航空法では200グラム以上のドローンなどの無人航空機を規制対象としており、飲酒運転が発覚した場合は1年以下の懲役か30万円以下の罰金を科されます。このほか、パイロットが飲酒状態で業務に従事した場合、従来の「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」が「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」に引き上がった。
2015年の航空法改正では、小型無人機は200グラム以上のものについては、イベント会場などDID地区(人口密集地)上空や空港周辺、夜間や目視外で飛行させる場合に国の許可が必要になりました。しかし、安全運転に関する具体的な決まりは十分とは言えませんでした。
海外のドローン飲酒操縦禁止法の事例
ホワイトハウスにドローンが墜落
2015年1月26日午前3時8分、ホワイトハウスの警備にあたっていたシークレットサービスの一員が、敷地内にて約60cmのクアッドコプターが低空飛行しているところを発見しました。その後、クアッドコプターは敷地の南側に墜落。その機体は「DJI Phantom2」であったことが判明しました。
騒動時、オバマ大統領とミシェル夫人は不在でした。2人の娘も祖母の家に出かけていたため要人の身に被害はありませんでした。しかし緊急事態を受けて当局では操作を開始し、事態の解明を急ぐこととなりました。事件発生から6時間後の午前9時30分ごろ、組織に所属するエージェントの1人が酒に酔った状態でドローンを飛ばし、墜落させたことが発覚。
ホワイトハウス周辺には防衛用のレーダー網が張り巡らされているのですが、ドローンには対応していないという事実が浮き彫りになりました。
ニュージャージー州で飲酒操縦が禁止
2018年1月15日、ニュージャージー州でドローンの飲酒運転を禁止する法律が施行されました。
新法の下では血中アルコール濃度が0.08%以上でドローンを操縦する事が違法となりました。違反した場合は最高で禁錮6月、罰金1000ドル(約11万円)が科せられるように改正されました。
しかし、トランプ大統領は可視範囲外でのドローン操作を合法にしようとしています。大統領の考えを支持する人たちは法案の改正に対し、批判的な立場を取る人が多数います。法規制を厳しくすることで成長や発展のスピードの遅れが懸念されるからです。
実際に2019年1月14日にアメリカ連邦政府はこれまで禁止されていた民間のドローンによる人の頭上での飛行や届け出なしの夜間飛行を許可するという新しい規制案を発表。しかし、この禁止法により、建設予定地の調査や商品の配達など様々なシーンでの商業用ドローンの運用が困難になっている現状があります。
FAAのガイドライン
アメリカでは、外国人がドローンを飛行させる際には機体の登録が必要ですが、アメリカ国民または永住権を持っている人は、基本的には誰でも自由に飛ばせます。
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ですが、そうは言っても最低限のルールがあります。FAA(米国連邦航空局)は安全ガイドラインを設けています。
- 120メートルより下で飛ばすこと
- 目視の範囲内で飛ばすこと
- 他のドローンや航空機、空港近くでの飛行禁止
- 人が集まっている場所での飛行禁止
- スポーツイベントや球場などでの飛行禁止
- 火災が発生している近くでの飛行禁止
そして、飲酒に関してのルールもここに加わります。パイロットや事業用ドローンの運用は、飛行の8時間前までには飲酒をやめることを定義付けています。FAAはしっかりとガイドラインを設けてはいますが、ホワイトハウスでの事件を受け、各州は法整備を早急に進め、ニュージャージー州を筆頭にFAAの規制を超えた立法が始まります。