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知らないと損する「ドローン撮影料金」の目安や見積もり依頼の基本

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DJI製ドローン,Phantom 4 Pro,プロペラを装着した状態


ドローン撮影の料金を徹底解説!

一時期は「危険なモノ」や「趣味用」と誤解されることもあったドローン。しかし、近年は安全性や安定性が増し、産業用としても活躍しています。日本の人口、特に労働力人口が大幅に減少することが確実になっている今こそ、AIやIoT、ブロックチェーンなどと並び「ドローンを活かした業務改善」ができるかは、将来における事業の明暗を分ける重要なポイントです。

幸いなことに、ドローンは機体改善やビジネスに活用するための試行錯誤が積み重ねられてきたため、大企業のみならずとも日々の業務に活用できるようになりつつあります。少し前の流行語を借りるなら、「ドローン、いつやるの?」「今でしょう!」という状態です。

本稿では、そんなドローンの中心的な活用法である撮影(空撮)に利用する場合を想定して、アウトソーシング(外部委託)する際の料金や知っておくべきポイントなどをまとめました。

ドローン撮影が活用できるシチュエーション

飛行するDJI Mavic Pro

産業、ビジネス、仕事にドローン撮影を活用する場合、現在は以下のような用途が想定できます。もちろん、新しい分野ですのでまったく新しい利用方法にトライすることも十分に可能ですが「いまメジャーなドローン撮影の用途」としては、以下のようなものが代表的です。

  • ドローン空撮で記念撮影:結婚式、運動会、イベント、など
  • ドローン撮影を建築・工事現場で使う:オルソ画像作成、進捗確認、完工式、など
  • ドローン撮影を点検に使う:屋根、橋梁、ソーラーパネル、煙突、側壁、など
  • ドローン撮影を農業に使う:精密農業、害獣対策、など

なお、上記のような光学(RGB)カメラを利用した撮影以外にも、サーマルカメラを搭載したドローンを利用した点検、精密農業、遭難救助やレーザー発振器などを搭載したドローンを利用した測量なども行われています。

ドローン撮影の料金を決める要素

ドローン撮影の料金、相場を決める要素は複数あるため一概に「これだけ」とは断言できませんが、いくつか代表的なものがあります。ドローン撮影を行なうパターンや、会社・業者が考慮する代表的なポイントをご紹介します。

ドローンで
写真を撮影する料金

ドローンで写真撮影をする場合の料金と内訳のサンプルをご紹介します。

参考料金:税別20,000円~

  • 飛行回数:1フライト (約10~15分間)目安
  • カット数:5カット前後
  • パイロット1名可動時間: 30分~1時間以内 (現場打合せ~機材準備~飛行~片付け~撤去)
  • 成果物: データ1,200万画素 (4000×3000p)以上のJPEGかRAWの画像
  • 含まれるもの:対人・対物保険料
  • 含まれないもの:写真のレタッチ、土地の管理者からの飛行許可取得、サーマルカメラ・レーザーなどの特殊機材、など

ドローン撮影(写真)で
手に入る成果物のイメージ

<シンプルなケース>

ドローン空撮のイメージ

2万円1フライトで撮影できる空撮写真のイメージです。こちらの金額感の場合、だいたいこのような写真2〜3枚が成果物となります。
※金額はこの写真の正確な制作費用ではなく、料金の参考例です。金額はサンプルであり、実際の受注額ではありません。

ドローンで
動画を撮影する料金

ドローンで動画撮影をする場合の料金と内訳のサンプルをご紹介します。

参考料金:税別30,000円〜

  • 飛行回数:1フライト (約10~15分間)目安
  • カット数:5カット前後
  • パイロット1名可動時間: 30~180秒 (現場打合せ~機材準備~飛行~片付け~撤去)
  • 成果物:フルHDか4Kの動画データ
  • 含まれるもの:対人・対物保険料
  • 含まれないもの:動画の編集、土地の管理者からの飛行許可取得、サーマルカメラ・レーザーなどの特殊機材、など

ドローン撮影(動画)で手に入る
成果物のイメージ

<中級レベルのもの>

「空撮60,000円+地上撮影40,000円+編集費50,000円、必要経費別」程度のイメージの映像です。※金額はこの映像の正確な制作費用ではなく、料金の参考例です。金額はサンプルであり、実際の受注額ではありません。

<ハイグレードな機材を使用する現場のイメージ>

※価格は内容により大きく異なります

ドローン撮影の料金の内訳

ドローン撮影の料金と
ドローンの機体

ドローン撮影では、使用する機体によって料金がかわります。一般的な操縦士(パイロット/オペレーター)が使用できる機体はほとんどの場合「オプション料金無し」で手配できます。また、より専門的な産業用機体があり、こちらは使用に「オプション料金」や追加費用が必要になる場合があります。なお、追加費用の有無については、受託会社の状況によりかなり差があるので、問い合わせの際にしっかりと確認するべきポイントです。

スタンダードな機体

  • Mavic Pro:携行性重視の機体の旧モデル。簡易な案件で使用される
  • Mavic 2 Pro:携行性重視の機体の2018年モデル(1インチセンサー搭載)。高級機ではないが、性能は良い
  • Mavic 2 Zoom:携行性重視の機体の2018年モデル(ズームカメラ搭載)。高級機ではないが、性能は良い
  • Phantom 4 Pro:空撮のスタンダード機体。安定した飛行ができる中型機

ハイグレードな機体

  • Inspire 2:時速90km超の高速飛行ができる機体。マイクロ・フォーサーズサイズのセンサーを備えたカメラを搭載できるため、画質にこだわる動画や写真の空撮に用いられる。使用には追加費用がかかることはあまりない。
  • Matrice 600:大型のカメラなどを装着できる産業用機体。Sony α 7シリーズのカメラなどで撮影する際に使用されることが多い。10万円程度の予算アップが見込まれる
  • Matrice 200/210:耐候性と電波障害耐性を持つ産業用機体。サーマルカメラとRGBカメラを併用する場合などに使用されることがある。15万円程度の予算アップが見込まれる

ドローン撮影の料金と
申請費用

ドローン撮影時に、飛行場所が人口集中地区にあたる場合や夜間に飛行する場合など、いくつかのケースでは事前に国土交通省への申請と許可・承認の取得や空港や警察との調整が必要になります。

参考:きっとあなたも間違えている。ドローン規制14の落とし穴|2018年版

きっとあなたも間違えている。国内ドローン規制3つの落とし穴


操縦士(オペレーター/パイロット)が事前に許可・承認を受けていれば追加の費用が必要ない場合がほとんどですが、空港周辺や許可が必要な港湾の上空を飛ばす場合、許可申請費用(20,000〜50,000目安)が必要になることもあります。

ドローン撮影の料金と
キャンセル費用

天候不順などやむを得ない事情を除き、依頼者の都合による撮影の急なキャンセルには「キャンセル料」が発生するケースが大半です。キャンセル料は受託会社/業者によりまちまちですが、ひとつの目安は「撮影の4日前までは無し、3日前は総額の25パーセント、2日前は50パーセント、1日前は75パーセント、当日は100パーセント」といったパターンが考えられます。

ドローン撮影料金の見積もり

DJI製ドローン,Phantom 4 Pro,カメラ,固定状態

ドローン撮影を行なう場合、どのようなポイントに気をつけて見積もりを依頼すればよいか、基本的な情報をまとめました。受託会社/業者は「依頼主の目的がはっきりしない場合」は追加で作業が必要になる可能性を考慮して「高めの見積もり」を出す傾向があります。そのため、依頼主は「依頼したいのはここからここまで」という時間や成果物の明確な情報を伝えることで、より正確で安い見積もりが得られるようになります。

<見積もり依頼のNG例>

「いつ撮影するかは決めていないが、写真か動画で新しく建てたマンションをかっこよく撮影してほしい」

<見積もり依頼のGOOD例>

「来月の第2週平日に、○県x市△町○‐○にあるマンションを1フライトで撮影してほしい。必要な成果物は写真で、真俯瞰、右からの45°見下ろしの2カットのみ。撮影場所は人口集中地区ではない」

見積もり、発注時のチェックポイント

<日時、場所を確定させよう>

地理院地図(人口集中地区・空港等の周辺空域)
発注側の連絡先などの基礎情報に加えて、案件の概要として撮影日時や場所は事前に確定させておく必要があります。また、天候などの影響により、飛行(撮影)ができない可能性がありますので、1週間程度の間をあけて撮影予備日を設定しておくことがおすすめです。

<人口集中地区、空港周辺かどうかを確認しよう>

DID地区と呼ばれる人口集中地区と空港周辺は、飛行が制限されています。事前に必要な手続きをすれば飛行が可能な場合が多いですが、一段手間と難易度が上がるため、事前に発注者側でも確認をして状況を把握しておくことがおすすめです。

なお、人口集中地区と空港エリアに該当するかは、以下の地図から確認可能です。

» 地理院地図(人口集中地区・空港等の周辺空域)

また、その結果を踏まえて申請が必要な場合はオペレーター側で手続きをするのか、発注者側で手続きをするのかなどを明確にした上で依頼するようにしましょう。なお、無許可での飛行は明確な航空法違反となりますので絶対にやめましょう。

<必要なデータと撮影対象を明確にしよう>

プロのオペレーターを相手にする場合でも「ぜんぶお任せ」で発注者のイメージ通りのアウトプットが得られる事はほぼありません。自分の中で必要なカットをできるかぎり正確にイメージを箇条書きやコンテ(下手な絵、殴り書きでもあったほうが良い)を用意すると、望む結果に近いデータが得られる可能性がグッと高まります。

また、納期を明確にすることはもとより、納品データの形式や納品方法についても事前に確定させておく方がスムーズです。

<土地の管理者から許可を得よう>

第三者が所有する私有地上空で撮影を行なう場合は、原則として事前に許諾を得る必要があります。国土交通省などへの申請とは異なり、地権者への許諾は発注者が行なうことが一般的なので、事前に相許諾を得ておくか、連絡先を確認しておくとスムーズです。なお、自身や自社が所有・管理している土地の上空のみを飛行させる場合は、この手続は不要です。

また、複雑な撮影をする場合はロケハン(撮影場所の事前確認)をしたり、周辺に電波障害を引き起こす可能性のある施設(高圧電線など)がある場合はテスト飛行を行なうほうが望ましいため、そのための時間がとれるかどうかも事前に確認しておくべき項目です。

編集後記

広告やウェブサイトの素材やイベントの記録としてだけではなく、点検やオルソ画像の作成、農業にも活用できるドローン。

正しく活用することで、大きな業務効率化が機体できますが、やみくもに発注してはコスト負担が増えてしまいます。そこで、適切な料金で発注できるドローン撮影を発注する際はまずは目的(ゴール)を明確にして依頼(見積もり)をするのがおすすめです。





2018.11.09


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