画像出典:NYC Drone Collision、以下同じ
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もくじ
ドローンと旅客機が衝突する衝撃映像
夕暮れか朝焼けと思われる美しい空模様の中へと飛び立つ旅客機。映像は機内から撮影されたもので、旅行者ならきっとだれもが一度はカメラを向けたことがあるような見慣れた光景です。
主翼の先(ウィングレット)に高速でドローンが激突します。
粉々になるドローン。
飛行機もダメージを受け……。
飛行機の翼の先端が無残に破壊されてしまいました。
ドローンが旅客機の翼を破壊する衝撃映像
衝撃の映像の全編は以下でご覧いただけます。
NYC Drone Collision
※ オリジナルの動画は削除されているため上記は転載動画です。
一体この後、この飛行機は、乗客たちはどうなってしまうのか? と、不安になる映像ですが、実は……。
ドローンと飛行機の衝突映像の裏側
この映像はフェイク
この映像はCG合成によるフェイク(ニセモノ)であり、実際にこのようなドローンと飛行機の衝突事故は発生していませんでした。この映像に映っている飛行機はサウスウェスト航空の機体で、同社はこのような事故が起きてないことを発表し、主翼(ウィングレット)に描かれた文字が本物の機体とは異なる「Branit.com」であることを指摘しています。ちなみに、このドメインはCGクリエイターなどがポートフォリオ(作品集)をアップロードするウェブサイトのものであるとのこと。
» 参考記事 Drones smashes into plane's wing in terrifying footage – but is it all it seems?
» 参考記事 Hoax alert: A drone didn't hit a plane taking off from New York
騙された人も少なくないはず
この動画は『LiveLeak』で公開されると250,000回以上再生され、大きな話題を呼んだそうです。さらに、元の動画が削除された後もYouTubeなどへの転載は続き「本物の事故映像」として公開されて続けている状況があります。ある程度飛行機の強度やCGについての知識があれば嘘を見破れるかもしれませんが、関連知識がない人がスマートフォンなどの小さい画面で見た場合などには見破ることは難しいかもしれません。
さらに、現時点に至るまでこの映像を「本物」としてYouTubeなどに転載している例もあり、さらに多くの人の目に触れ、一定の数の人たちが騙されて続けているかもしれないという状況が続いています。
フェイク映像を本物として転載している例
現在のフェイク映像は、さらに見破るのが困難
この動画が公開されたのは2015年頃のようですが、記事作成時点(2018年)においては、CG技術はより進化しています。一例として、動画に撮影された人物の唇の動きをAIが認識、別のセリフにあわせてあたかもその人物が話しているような映像を合成するAI技術が現実の物になるなど、想像を超える「リアルなフェイク映像」を生み出せるのが現代の技術です。本人のスピーチやインタビュー映像に見えても「それが本当に本人なのか?」と疑ってかからなければならないのです。
編集後記
今回ご紹介した映像のクオリティ(?)は「まぁまぁ」といったところですが、フェイク映像が今後もますます精巧さを増していくことは間違いありません。また、ドローンは、それその物に話題性があることや、クラッシュや爆発などのインパクトのある映像に繋げやすいこと、鳥や人間などの生き物に比べてCGにした際にリアリティを保ちやすいことなどから、今後もフェイク・映像の題材にされる可能性があると言えるでしょう。「衝撃映像!」などのタイトルとともにドローンセンセーショナルな映像が流れてきた場合は「リツイート」や「シェア」などで拡散する前に一息ついて、他の情報ソースにあたる余裕を持ちたいものです。