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スマート農業とは? ドローン・IoT・ICTの活用事例と展望

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3行でわかる! スマート農業

最近、新聞やテレビで見かけることが増えたスマート農業とは、いったい何でしょうか? まずは、その概要を3行でご説明します。

スマート農業は……

  • 労働力不足を解決するために必要とされています
  • ドローン、ロボット、IoT、AIなどの技術を活用します
  • 少ない労力で農作物の生産量や品質を高めることを目指しています

もちろん、これだけでは「まだ、何のことだかわからないなぁ」という方も多いはず。そこで、ここからはスマート農業が注目されている「背景」、スマート農業が実現しようとしている「目標」、スマート農業に利用される「技術」、そして「事例と展望」をご紹介していきたいと思います。

スマート農業が必要とされる背景

スマート農業の目的は「先端技術を農業に応用して、生産性や品質を向上させる」ことです。では、なぜ、今のままのやり方を変える必要があるのでしょうか? それは、日本の人口が減り、農業に取り組む人たちが減るからです。農業に限ったことではありませんが、仕事の担い手として活躍できるとされる15〜64歳の生産年齢と呼ばれる区分の人口は2015年からわずか15年の間に1,000万人近く減少すると予測されているのです。

生産年齢人口の減少


生産年齢人口の減少|内閣府

日本の人口は戦後約7,100万人から増え続け、2010年頃までにはほぼ倍増して1億2800万人になりました。日本の経済発展は、勤勉な国民性やいち早く最新技術を取り入れたことや、政治的安定性を背景に海外からの投資を集められたことなど様々な要因がありますが、それに加えて人口増、特に生産年齢人口が継続して増え続ける「人口ボーナス」があったことは間違いありません。しかし、1995年頃を境に既に日本の総人口は減少に向かい、2018年時点では総人口も生産年齢人口も急速な減少が続くという段階に差し掛かっています。

つまり、これまで10人で行なっていた作業を10人でやり続けようとしても、そもそも働き手が「9人にしか居ない」、「8人しか居ない」、「7人にしか……」という状況が発生しているので、1人あたりの生産性がこれまで通りであれば「過去の生産量や品質を維持できない」という状況に陥ってしまいます。また、諸外国との競争などに対して、これまでよりも生産量と増やしたり品質を向上させて対抗しなければならない場合には「労働力減少を補って、さらに生産性も向上しなければならない」という非常に困難な状況に直面します。

日本の人口推移,総務省統計局


統計局ホームページ/日本の統計 2017-第2章 人口・世帯

このような状況下では「気合を入れてがんばる」「1人が長く働く」といった程度のことでは焼け石に水で、とうてい太刀打ちできません。例えば「10人で1日8時間、合計80時間の作業」をより少ない人数で行なうことになった場合を考えてみましょう。単純計算で「9人なら1日8.8時間」、「8人なら1日10時間」となり、人数が減っているのに同じ時間で同じ事をやろうとすると当然追加の作業時間が発生します。しかも、このサイクルから脱せなければ先にあるのは「7人なら1日11時間以上……」「6人なら1日13時間以上……」という働き方になり、破綻することは明らかです。

よって、急速に人手が減っていく中では、効率と生産性の向上は不可欠であり、それがなければ現状維持すらも不可能になるという状況なのです。そこで、こうした困難な課題を解決するために、ドローン、ロボット、IoT、AIなどの先端技術を総動員して大胆な改善を行なうことが必要になっているのです。

このような課題は日本の産業全体に共通するものですが、従事者の高齢化が進む農業においては特に深刻な問題となっているため、それを改善するためにスマート農業としてさまざまな取り組みが始まっています。では、このスマートの農業とはどんなものなのか、その詳細を以下でチェックしてみることにしましょう。

スマート農業とは?

農業用ドローン,畑の上を飛ぶドローン

スマート農業は、農林水産省が研究会を設置し推進しているもので、その趣旨については以下の通り説明されています。

我が国の農業の現場では、担い手の高齢化が急速に進み、労働力の不足が深刻となっており、農作業における省力・軽労化を更に進めるとともに、新規就農者への栽培技術力の継承等が重要な課題となっています。他方、異業種では、ロボット技術や人工衛星を活用したリモートセンシング技術、クラウドシステムをはじめとしたICTの活用が進展しており、農業分野への活用が期待されています。このため、ロボット技術やICTを活用して超省力・高品質生産を実現する新たな農業(スマート農業)を実現するため、スマート農業の将来像と実現に向けたロードマップやこれら技術の農業現場への速やかな導入に必要な方策を検討する「スマート農業の実現に向けた研究会」を設置します。


スマート農業の実現に向けた研究会:農林水産省

スマート農業の目標

それでは、スマート農業が目指しているのは具体的にどのような事なのでしょうか?ここでは農水省のウェブサイトに掲載されている資料をもとに、スマート農業を知るための5つの「狙い(目標)」をご紹介したいと思います。

【目標1】超省力・大規模生産を実現

高精度GPSを利用してトラクターなどの農機を自動走行させること。夜であっても、天候が悪い日であっても、人の手に頼らず、複数の機械が長時間に渡り自動で作業を続けることで、生産能力の向上が期待できます。さらに、複数の車両を自動で協調させることで、限られた作期を逃すことなく大規模な作業を展開することも可能です。

【目標2】作物の能力を最大限に発揮

気温や土壌温度センサー、NDVIカメラなど、さまざまなセンサーを用いて作物や農地の精密なデータを取得し、得られたビッグデータから適切な栽培方法や圃場(ほじょう)管理を可能にする「精密農業」により、作物のポテンシャルを最大限に引き出して収穫量をアップすること。広大な田畑の全てのエリアに同量の水や肥料、農薬を散布するのではなく、生育状況や土壌のコンディションに応じて適量をサンプルとして抽出することでより効率的な農業が行える可能性があります。なお、同様の仕組みは、個体の生育状況に応じた餌やりなどとして畜産業にも応用できます。

【目標3】きつい作業、危険な作業から解放

アシストスーツによるサポートやロボットによる自動化をすること。農業は収穫や除草作業により大変な重労働を強いられます。農業従事者には高齢者が多いこともあり、肉体的負担による怪我などのリスクは深刻です。

【目標4】誰もが取り組みやすい農業を実現

経験豊富な農家の栽培技術や圃場管理などをデータ化し、だれでも高精度の作業ができるようにすること。また、自動走行の農機やアシストスーツを用いることで高齢者が働き続けられるようにしたり、ノウハウをデータ化することで若者などが農業に参加しやすくすることを目指します。

【目標5】消費者・実需者に安心と信頼を提供

クラウドシステム等の導入により、消費者や実需者に農作物の生産過程や商品の詳細な情報と安心・信頼を届けること。トレーサビリティーと透明性の向上により、作物のブランドストーリーを創造して、商品価値を高めるといった高付加価値戦略への応用も期待されています。

スマート農業に活用される先端技術

農業用ドローン,農薬散布

人口減少を背景とする人手不足に対応しつつ新たな価値を生み出して生き残るには、個人の精神論や長時間労働だけではどうにもなりません。そこで、必要となってくるのは、これまで農業ではあまり活用されてこなかった先端技術を取り込み、生産効率向上や販促活動などに利用することです。これらの先端技術にはIoTやAIクラウドコンピューティング、ICT(インターネット・コミュニケーション・テクノロジー)、ロボットなども含まれますが、本稿では注目の存在としてドローンをピックアップしてご紹介します。

スマート農業とドローン(無人航空機)

農業分野におけるドローンは、大別して精密農業と農薬散布の2分野で活用が進んでいます。

精密農業

ドローン以前の精密農業は地上に設置したセンサーや定点カメラ、人工衛星で撮影した画像などを用いて行なわれていました。しかし、定点カメラは観測できる範囲が広くありません。また、人工衛星は欲しいタイミングで画像を取得できず、解像度が低いため中小規模の農地での利用には不向きでした。そこで、これらの欠点を解決するためドローンの活用が進められています。ドローンであれば地上にセンサーを設置するより広い範囲のデータが得られ、人工衛星より手軽に利用できるというメリットがあります。また、日本では米国などと比較して中小規模の農地が多いことから、ドローンによる精密農業に向いているという分析もあります。

精密農業の例としては、マルチスペクトルカメラと呼ばれる機材を用いてNDVI(正規化植生指数)という農作物の健康状態を示す指標を求める、といった利用法が挙げられます。定期的にこのような観測をすることで、作物の生育ムラや収穫適期が知れるので、圃場管理が迅速に行なえます。また、赤外線カメラを搭載したドローンは土壌や作物の温度状態を観測するために利用できます。農作物の温度ストレス状態を把握することで適切な水やりをする灌漑(かんがい)計画や高温度障害等の発見、事前予測などに活用することで生育不良を防げます。

精密農業に利用できるドローンの例

パロット Disco-Pro AG 550,000 (税抜)

Disco-Pro AG

パロット社のマルチスペクトルカメラ「SEQUOIA」を搭載した固定翼ドローンです。もちろん、プロペラを備えたマルチコプター型ドローンでも精密農業への利用できますが、圃場の面積が広い場合は飛行速度に優れる固定翼機にアドバンテージがあります。

農薬散布

これまでは、人がタンクを背負って散布をしたり、ラジオコントロール・ヘリから行なわれていた農薬散布をドローンで行なうことが可能です。日本の農地の多くは民家が近くにある場合が多いためセスナ機で一気に農薬散布することは難しく、無人ヘリの場合はエンジン音などの騒音が問題とされることがありました。一方で、ドローンでは、より狭い範囲へ正確に農薬を散布でき、騒音も比較的低いといったメリットもあります。

DJI
AGRAS MG-1 180万円前後

DJI AGRAS MG1

容量10リットルのタンクに農薬を入れ1フライトで最大1ヘクタールという広い面積に散布が行なえる機体。地上で人が作業する場合とくらべて最大60倍の速さで農薬散布を完了できます。

スマート農業の事例

天晴れ

スマート農業、ドローン、IoT、ICT、国際航業


画像出典:天晴れ サービスについて|国際航業

日本を代表する航空測量企業である国際航業が展開する営農支援サービス。ドローンによる圃場の撮影画像をメールで受けとれるだけでなく、人工衛星で撮影した画像やそのデータを元にした解析レポートをウェブサイトからオーダーすることも可能です。

営農支援サービス「天晴れ」は、人工衛星やドローンから撮影した圃場の画像を解析し、農作物の生育状況を診断してお知らせするサービスです。農家の皆様の「大変」「困った」を解決します。
導入前の課題「小麦の収穫時期になると、収穫する順番決めるために、早朝から所有する全圃場を見て回り、穂水分を図る必要があり、多大な労力を要していた。さらに、他の農作業や穂水分のデータの精査といった作業を行う必要があるため、家族との時間もなかなか取れない」
導入後の感想「小麦収穫期の穂水分率計測作業が50%以上削減できた。時間に余裕が生まれ、家族との時間が取れるようになって良かった」


天晴れ|国際航業

農業×IT by OPTiM(オプティム)

スマート農業、ドローン、IoT、ICT、オプティム

マルチスペクトルカメラを使用した圃場管理や深層学習を応用したドローン空撮画像による虫害の発生検知、温室内を自動で走行する車両から撮影した画像を解析した収穫適期の予測、ブロックチェーン技術を活用したトレーサビリティ管理などの広範なサービスを提供しています。

OPTiMが描く、スマート農業。OPTiMは、AI・IoT・ビッグデータを活用して 楽しく、かっこよく、稼げる農業を実現します。日本の農業には数々の課題が山積しています。農業従事者の高齢化や担い手の減少、ノウハウの暗黙知化、所得の低下等、農業の持続性の確保が年々難しくなってきています。OPTiMはこれらの課題の解決を目指します。



農業×IT OPTiMが描く、スマート農業|OPTiM

ドローン米

スマート農業、ドローン、IoT、ICT、ドローン米

画像出典:ドローン米|ドローン・ジャパン

農薬・化学肥料の使用を減らし、自然に近い環境でお米を育てるためにドローンを活用してつくられたお米がドローン米です。ドローンによる稲作地のデータ収集のみならず、生育情報の記録や農家の想いを届ける映像制作などにもドローン活用している点が特徴。テクノロジーを利用した品質の向上に加えて、販促活動への応用も行なっています。なお、このプロジェクトでつくられたお米は既に製品化されており、こちらから購入可能です。

農薬・化学肥料に頼らない篤農家が創るお米づくりをドローンが「見える化」。篤農家と共感する消費者がつながり、お米に正当な価値をつける。そして、おいしく、安心安全なお米を、これからますます求められる世界の消費者に届ける。さらに、篤農家のお米と土づくりを伝承するための「ドローンx農=精密農業ができる人財を育成」し、「日本の稲作土づくりを世界に広げる」ことを目指します。



ドローン米 プロジェクトミッション|ドローン・ジャパン

ドローン米PV 2017

スマート農業におけるドローン利活用の展望

現状、スマート農業におけるドローンの役割はマルチスペクトルカメラによるデータ収集や農薬散布などであり、操縦などを始めとするほぼすべての段階で人間が作業に加わる必要があります。また、実験段階であるため「今まで通りの方法」で作業を行なうより、手間や時間がかかるという場合も少なくありません。しかし、ドローンの技術が進歩し自動化が進めば、遠からぬ未来に農業の姿は大きく変化することでしょう。そんな未来の農業の姿が垣間見える「全自動ドローン」の映像が公開されていますので、ぜひ、この記事の最後にご覧いただき、スマート農業の未来への期待を膨らませていただければと思います。

編集後記

生産年齢人口が減り、あらゆる産業で人手が不足する中で、農業も厳しい人手不足に直面しています。その中で急務となる効率や生産性の向上のためのツールとして、ドローン、AI、IoT、ICT、クラウドコンピューティングの活用が必要になっています。

しかし、現状では「ドローンを使ったから生産量が2倍になる」「作業時間が半分になる」という状況には至っていないのが事実。先端技術を農業の現場に「落とし込み」をして、実際に明確な成果が上がるまでには、まだ試行錯誤が必要な状態と言えるでしょう。けれども、急速に高齢化が進む中で、農家のノウハウをテクノロジーと融合させ次世代に引き継ぐことができるかは時間との勝負。農業のスマート化が日本の詳細の農業と食を支える存在になる可能性が十分にありますが、それを実現するための時間はわずかです。

【新型】Phantom 4 Pro V2.0 をDJIが発売!

DJIが『Phantom 4 Pro V2.0』を発売しました。

新モデル「V2.0」は、ローター(プロペラ)の形状が変更され飛行時のノイズが4デシベルへ低減。

さらに、OcuSyncに対応することで、FPVヘッドセット『DJI Googles』とワイヤレスで接続し最大7km(日本では4km)先からフルHD映像の伝送が可能になるといった進化を遂げています。

▪詳細と購入はコチラから » DJI ストアでPhantom 4 Pro V2.0をチェック


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