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ドローンカメラが爆速で進化を続ける深い理由

2017.10.10

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DJI製ドローン,Phantom 4 Pro,カメラのクローズアップ

ドローンが搭載するカメラの進化が止まらない。2014年頃までは、鑑賞に耐える空撮映像を撮影できるドローンを安価に購入することはほぼ不可能だったが、2017現在では10〜20万円程度の機体を買えば手軽に4K動画が撮影できるまでになった。ドローンと空撮用カメラは、なぜ、これほどまでの勢いで革新を遂げたのか? この記事ではドローンカメラの発展を牽引するDJIとその機体を中心に進化の背景を読み解いていくことにしよう。

DJI Phantomシリーズで見るドローンカメラの歴史

ドローンカメラの進歩の速度を検証するにあたり『Phantom』のスペックを確認してみることにしよう。この機体は民生用ドローンメーカーの最大手DJI社が販売する機体であり、ドローンのアイコン的存在でもあるため、ドローンの進化を読み解くサンプルとして取り上げるにはうってつけだ。


※一部、日本未発売のモデルがあるため、発売時期は米国基準で記載した。

2013年:Phantom 1

» スペック詳細:DJI Phantom Drone

シリーズ初代となる『Phantom Drone』、現在は『Phantom 1』と呼ばれるモデルが発売されたのは2013年の1月のこと。専用のカメラは搭載しておらず、空撮をしたい場合は別売りの『GoPro』カメラなどを取り付けなければならなかった。実際に、このセッティングで撮影された動画がYouTubeで公開されているが、機体の振動をもろに受けてブルブルと揺れ続ける映像はとても見られたものではない。

なお、こうしたブレの問題を解決するために、同年の半ばには『GoPro』カメラ用の2軸ジンバル『Zenmuse H3-2D』がDJIから発売されているが、カメラそのものはサードパーティー頼みという状況は変わっていない。

2014年:Phantom 2 Vision

» スペック詳細:Phantom 2 Vision

DJIがドローンと共に自社でデザインしたカメラを搭載したモデルが2014年の7月に発売された『Phantom 2 Vision』だ。もともと空撮ドローンを販売する計画が同社のロードマップにあったのかもしれないが、初代の機体の登場から1年半でカメラ搭載モデルの発売にこぎつけている点は注目に値する。

なお、このカメラの仕様は、1,400万画素1/2.3インチセンサーでJPG/RAWでの写真撮影と、フルHD(1080×1920)秒間60フレームの動画撮影ができるというものだった。

スペックだけを見るとそれなりに良さそうに思えるが、実際に撮影した映像はかなり揺れがひどく見づらい。

2015年:Phantom 3 Standard

» スペック詳細:Phantom 3 Standard

3世代となる『Phantom 3 Standard 』は2015年の8月に発売された。この機体に備えられたカメラは1,200万画素1/2.3インチセンサーを備え、JPG/RAWでの写真撮影と、UHD(2704×1520)秒間30フレームでの動画撮影ができるという仕様だった。

DJIの公式動画を見ると、このモデルからは現在(2017年下旬)の感覚で鑑賞しても見劣りしないクオリティの映像が撮影できるようになっていることがわかる。3軸のジンバル(スタビライザー)によりほとんど揺れを感じさせることが無くなった映像は十分に鑑賞に耐えうるクオリティだ。

2016年:Phantom 4

» スペック詳細:DJI PHANTOM 4

4世代目の『Phantom 4』は初代Phantomの発売から約4年後となる2016年の3月に登場した。公式の動画の中でも「フライングカメラ」という表現が用いられるなど空撮ドローンとしてさらに磨きがかかった仕様となっており、1,240万画素1/2.3インチセンサーを備え、JPG/RAWでの写真撮影に加えて、4K(3840×2160)秒間30フレームでの動画撮影が実現している。

DJIは、さらにこの後もより大型の1インチセンサーを搭載し、4K映像を秒間60フレームで撮影できる『Phantom 4 Pro』を発売するなど、矢継ぎ早に新製品の導入を続けている。

ドローンカメラは4年で劇的に進化している

いまやドローンと空撮機材の代名詞とも言うべき存在になったPhantomの歴史を振り返ってみると、2013年の1月発売された初代『Phantom』はサードパーティーのカメラで見るに堪えないような揺ればかりの映像を撮るだけで精一杯だった。その4年後に登場した『Phantom 4』は、大幅なカメラとジンバルの性能の向上により滑らかな映像が撮影できるようになっていた。この勢いとスピードには初代の『iPhone』から『iPhone 4』までの間に体感した進歩と同じくらいのインパクトを感じずにはいられない。ドローンやそのカメラと並ぶほどに速度で改善が進む分野をあげをと言われても、スマートフォン界隈などを除いて、他の例を見つけるのは困難だろう。

ドローンカメラはデジタル1眼カメラを超えた?

2017年時点におけるドローンカメラの主流は4K動画撮影機能を備えている。DJIが10万円台で販売する『Mavic Pro』であっても4Kでの秒間30フレームの撮影が可能になるなど充実した性能を備えている。

一方で、大手の老舗カメラメーカーが販売しているデジタル1眼レフカメラはハイエンド機(EOS-1D X Mark II)や5D Mark IV除き、4Kでの動画撮影はできない。ニコンも似たようなもので、ハイエンドの『D5』とそれに次ぐ『D850』などが4K30フレームでの動画撮影に対応しているにすぎない。

もちろん、ドローンカメラとデジタル一眼レフカメラとではセンサーサイズが大きく異る。また、想定されいる用途や設計思想も根本からちがうのだから、これだけを持って「デジイチは進化していない」というつもりはないが、4K動画の撮影能力の有無という点だけで比較すればドローンカメラは高級デジタル1眼レフカメラより優れていると言っても決して過言ではない。

では、なぜ、ドローンカメラはここまで急速に進化できたのか? ここからはその背景を考察していこう。

ドローンカメラの進化の理由

これまで見てきたとおり、ドローンカメラが短期間に急速な進化を遂げたことは疑いようがない。そして、その進化を読み解く鍵はPhantomシリーズを製造しているDJIの本拠地に隠されている。

スマホ製造で栄えた街がドローンの”ゆりかご”だった

深セン湾体育中心周辺の風景
(↑)いまだに急速な発展を続ける深セン市の姿。2017年に筆者撮影

DJIの創業者であるフランク・ワン氏は、中国の杭州に生まれ香港の大学で学んだ人物である。そして、彼が2006年に起業した地は中国広東省の深セン市だった。

この深センは市は「人類史上最速で発展する街」とも「中国のシリコンバレー」とも言われるイノベーションのハブとして世界に知られる都市だ。もともとは、1980年代に鄧小平(トウ・ショウヘイ)氏が経済特区に指定したことから急速に発展が始まった場所であり、当初は人口30万人程度の小規模な町でしかなかったが、今や1,400万人とも言われる人口を有する巨大都市へと変貌している。

これほど急速に深セン市が成長できた発端は経済特区に指定されたことにほかならないが、その後の発展を可能にした原動力は物づくりの街としてのパワーにほかならない。深センは、中国各地から集まる安く豊富な労働力をベースに巨大な工場地帯を形成し、その街に大型船が入港できる港湾が隣接するというユニークな構造を持っている。これは製造と物流における絶対的なアドバンテージであり、「世界の工場」として発展を遂げた中国内でも、深センが特に目覚ましい成長を遂げることができた理由なのだ。このような背景があったことから、AppleからiPhoneの製造を受託した企業であるフォックスコンの巨大工場が建設されるなどして、深セン市にはハイテク産業の集積地としてさらなる発展を遂げることになった。

また、こうした街の成長は中国全土から野心あふれる優秀な学生やビジネスパーソンを呼び込む”引力”をも生み出している。市内には清華大学や武漢大学といった名門校のリモートキャンパスが置かれ、起業をサポートするインキュベーションセンターが建てられるなど、街全体として起業家を排出する仕組みが整えられ、それが深セン市のイノベーションのハブとしての機能をより強固なものとしている。

深セン市はこのような歴史を経て「中国のシリコンバレー」と呼ばれるようになった。そして、この街の唯一無二の特性こそがDJIという企業とそのイノベーションを育てた”ゆりかご”として機能していたことはまちがいない。このような土地柄に本拠地を構える企業だからこそ、DJIは優秀な技術者にも複雑なハードウェアの組み立てができる工場のラインへも素早くアクセスでき、革新的な製品を生み出すビジョンを矢継ぎ早に実現することが可能だったのだ。ドローンに搭載されているカメラ1つとっても、80年代から続く深センの革新の歴史に根ざすDJIの強みがあったからこそ、4年という短期間で急激な性能の向上が実現できたと言えるだろう。

ドローンカメラの進化は止まらない

DJI製ドローン,Phantom 4 Pro,カメラ
(↑)Phantom 4のカメラ

このようなバックグラウンドを持ち発展を続けるDJIが牽引しているだけに、ドローンと空撮カメラの世界ではこれからも目覚ましい発展が続くことは間違いないだろう。この記事を書いている今にもDJIは空撮用カメラ『Zenmuse』の新型と見られる製品のティザー広告を公開している。

現行のDJIのハイエンド空撮専用機である『Inspire 2』が搭載できるカメラはフォーサーズセンサーを搭載しているが、手持ちのデジタルカメラにはこれより大型のAPS-Cやフルサイズと呼ばれる大型センサーを搭載したモデルが複数販売されている。このようなトレンドに習って、DJIの新しいドローンカメラもより大型のセンサーを搭載するのかもしれない。とは言え、現時点では公式の発表がないため正確なところは定かではない。

いずれにせよ、ドローンカメラを覗き込むとまざまざと映し出されるのは、「中国シリコンバレー」の蓄積を糧に空の産業革命の覇者となるべく猛烈な勢いでイノベーションを続けるDJIの姿に他ならない。


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